定時株主総会の開催

株式会社は毎事業年度の一定の時期(通常3ヶ月以内)に、定時株主総会を開く必要があります。定時株主総会では、決算の承認や、取締役や監査役等の役員を選任したりします。

なお、剰余金の配当の決議については、定時株主総会のみならず、臨時株主総会でも決議可能です。(会社法453条、454条)

事前に確認する書類

平成18年5月に会社法が施行され、株式会社といっても様々な形態の会社を作ることが出来るようになりました。まずは、以下の書類を確認して、ご自身の会社がどういう形態かを把握する必要があります。

  1. 会社登記簿
    ポイント 取締役会設置会社か、監査役設置会社か、株式に譲渡制限が掛かっているか
  2. 定款
    ポイント 取締役や監査役の任期は何年か、株主総会の開催は決算後何ヶ月以内か
  3. 株主名簿
    ポイント 株主の数・議決権の数

 

株主総会の権限

株主総会の権限とされる決議事項は、取締役会設置会社と取締役非設置会社では異なります。

取締役設置会社

株主総会は、以下の事項につき決議できます。(会社法295条2項)

  1. 会社法が規定する事項
  2. 定款で定めた事項

取締役非設置会社

株主総会は、以下の事項につき決議できます。(会社法295条1項)

  1. 会社法が規定する事項
  2. 会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項

 

定時株主総会開催の流れ(取締役会・監査役設置会社のケース)

事業年度末日(基準日)
取締役による計算書類の作成
4週間以内 取締役から監査役への計算書類・事業報告書の提出
監査役から取締役への計算書類・事業報告書に関する監査報告書の提出
取締役会開催 計算書類・事業報告書の承認をし、定時株主総会開催に向けての取締役会を開催します。
決議すべき事項は以下のとおりです。

  1. 開催日時
  2. 開催場所
  3. 議題
  4. 議案
  5. 事前投票に関する事項
  6. 議決権の代理行使に関する事項
招集通知発送
※非公開会社の場合、株主総会開催の1週間前までに送付
※書面による議決権行使の場合は、2週間前
株主に招集通知を発送します。
送付書類は以下のとおりです。

  1. 招集通知
  2. 計算書類(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表)
  3. 事業報告書
  4. 監査報告書
  5. 委任状

ただし、以下の場合は招集手続を省略できます。

  1. 株主全員の同意があるとき。
    ただし、株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができるとき、または株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができるときを除く
  2. 株主全員が株主総会に出席した場合
  3. 株主全員の同意で決議省略により株主総会を開催しないとき
定時株主総会

 

株主総会議事録の記載事項(会社法施行規則72条3項

  1. 開催された日時及び場所
    (当該場所に存しない取締役等や株主が株主総会に出席をした場合における出席の方法を含む。)
  2. 議事の経過の要領及びその結果
  3. 会計参与が選解任に関し陳述した意見その他株主総会において述べられた一定の意見又は発言の内容の概要
  4. 出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
  5. 議長があるときは、議長の氏名
  6. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名(実務上は押印もしています)
議事録に出席取締役全員を記名し、実印で押印する場合

取締役会非設置会社で、以下のケースでは出席取締役全員を記名し、実印で押印をします。

  1. 株主総会の決議によって代表取締役(各自代表の取締役を含む)を定めた場合(平成18年3月31日法務省民事局通達)。

株主総会決議の省略(会社法319条1項)

以下の要件を満たした場合、株主総会の決議があったものとみなされます。株主総会の決議を省略するための定款の定めは不要で、招集通知も必要ありません。

要件
  1. 取締役または株主が株主総会の目的である事項について提案
  2. 当該提案につき株主の全員が同意
  3. 同意は書面又は電磁的記録による
株主総会議事録に記載する事項(会社法施行規則72条4項)
  1. 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
  2. 1の事項の提案をした者の氏名又は名称
  3. 株主総会の決議があったものとみなされた日
  4. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名