活用事例~高齢者の認知症対策~

家族信託は、高齢者の認知症対策や財産承継に非常に有効です。遺言や後見制度とあわせて利用されると、なお安心です。

高齢者の認知症対策

Xさんの想い

  1. 最近物忘れが多くなってきた
  2. 自分が認知症になった後も、息子Aに財産管理を任せたい
  3. 自分が死んでしまっても、妻Yに住居を確保し、金銭的な苦労をかけたくない
  4. 最終的には息子Aと長女Bに財産を相続させたい

解決策

  1. 以下の内容でXと長男Aの間で信託契約を締結します
    • 委託者(財産を預ける人)     X
    • 受託者(財産を管理する人)    長男A
    • 受益者(財産から利益を受ける人) (第1受益者)X (第2受益者)妻Y
    • 信託の目的 X及び妻Yの生活の保障、長男Aと長女Bへの円滑な財産承継
    • 信託財産  不動産(自宅)・現金
    • 信託の終了事由 X及び妻Yの死亡
    • 残余財産の帰属先 長男Aおよび長女B
  2. 信託契約により、信託を原因として不動産の所有権を長男Aに移転します。
    • (長男Aは「受託者」として登記されるため、実質的な所有者は、委託者兼受益者Xのままです。)
    • 委託者と受益者が同じであるため、贈与税は課されません。
    • 長男Aは不動産を預かっているだけなので、不動産取得税は課せられません。
  3. Xが認知症になっても、引き続き長男Aが財産管理をすることができます。
    • 信託契約の内容によって、長男Aが不動産を売却することも可能です。
    • 売却のために成年後見制度を利用する必要はありません。
  4. Xが死亡すると、受益者が妻Yとなります(第2受益者)。不動産は引き続き長男Aが管理するため、妻Yの生活の保障がしやすくなります。
    • 信託契約の内容によって、長男Aが不動産を売却することも可能です。
    • 受益者変更されるため、相続税の対象となります。
  5. Xと妻Y死亡後は信託が終了し、長男A及び長女Bが信託財産(不動産と金銭)を取得することになります(残余財産の帰属)。
    • 実質的な財産の移転となるため、相続税の対象となります。