成年後見制度の概要

障がいや高齢などのため十分な判断能力がない方をサポートする制度です。家庭裁判所への申立が必要です。ここでは、制度の概要をご説明いたします。

後見

本人の状態

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況

 

本人の能力・後見人の権限

本人が単独でできる行為

日用品の購入その他日常生活に関する行為

成年後見人の権限

成年被後見人の法律行為は、取り消すことができます。
また、成年後見人は、被後見人の法律行為を代理します。

  1. 財産管理に関する法律行為
  2. 身上監護に関する法律行為
    被後見人の住居の確保、生活環境の整備や介護サービスの利用,施設等への入退所,病院での治療及び入院などに関する手続・契約
  3. 付与された代理権に関する事務について生ずる訴訟行為を含む

 

保佐

本人の状態

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分

本人の能力・保佐人の権限

本人が単独でできる行為
日用品の購入その他日常生活に関する行為
保佐人の同意を要する行為
  1. 元本を領収し、又は利用すること。
  2. 借財又は保証をすること。
  3. 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
  4. 訴訟行為をすること。
  5. 贈与、和解又は仲裁合意をすること。
  6. 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
  7. 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
  8. 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
  9. 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
  10. 審判で定めた行為。
保佐人の代理行為

特定の法律行為について、代理権付与の審判を受け、代理することができます。ただし、本人の同意が必要です。

  1. 財産管理に関する法律行為
  2. 身上監護に関する法律行為
  3. 付与された代理権に関する事務について生ずる訴訟行為を含む

注意事項

  1. 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができます。
  2. 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができます。

補助

本人の状態

精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分

本人の能力・補助人の権限

補助人の同意を要する行為

以下の行為のうちの一部(審判で定める)

  1. 元本を領収し、又は利用すること。
  2. 借財又は保証をすること。
  3. 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
  4. 訴訟行為をすること。
  5. 贈与、和解又は仲裁合意をすること。
  6. 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
  7. 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
  8. 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
  9. 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
補助人の代理行為

特定の法律行為について、代理権付与の審判を受け、代理することができます。ただし、本人の同意が必要です。

  1. 財産管理に関する法律行為
  2. 身上監護に関する法律行為
  3. 付与された代理権に関する事務について生ずる訴訟行為を含む

注意事項

  1. 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意が必要です。
  2. 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができます。
  3. 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができます。

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